宮島の鹿

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「健気に生きてますから 広島編」をUPしました。
現在の日本列島における野生動物と人間の関係を捉えようとした時、その縮図のように感じた宮島。
古くから由緒ある神社の観光地であり、世界遺産に指定されている。毎日、多くの観光客が訪れる。数多いホテルや旅館の宿泊施設、おみやげ物屋さん、飲食店の商業施設、そして一般住宅が、限られた平地にびっしりとひしめき合い、狭い道路には車が走っている。そんなに大きくない島だが、標高500メートル以上の山があり、野生動物も多く生息している。
この島では、鹿は神鹿として大事にされてきた。しかし、今、野生の鹿が、人によって餌付けされ増えすぎ、植物やゴミをあさり、観光客にエサをねだる、フンが増えて汚いなどの理由で、エサを与える行為は禁止され、参道で販売されていた鹿のエサは、もう無い。もともと鹿のエサとなる草地は、この島には少ないのだ。野生に戻すという名目の下「エサを与えないでください。」という看板が、あちこちに立てられている。
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人間が、餌付けをして増やしてしまい、人間の生活に不都合になると、生活域から排除しようとする。
餌付けが、習慣化された鹿は、今も観光客にエサをねだり、バッグや袋の中をあさってくる。食べる物が、無くなった鹿たちは、痩せ細り、口に入るものはなんでも飲み込んでしまう。ビニール袋、レジ袋は、胃の中で消化されず溜まっていくと、やがて死に至る。化学物質を含んだ現代の紙も害になる。
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食べる物を求めて海岸で海草を食む鹿もいる。
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長い間、由緒ある神社の観光地に生息する鹿として地元の人たちも恩恵を受けてきたはずだが、厳しい現状だ。
この島の鹿たちに、奈良市にある奈良公園の鹿のように保護管理する団体は、存在しない。
鹿に限らず、クマ、イノシシ、サルなど増えすぎたり、行動が人間にとって不都合と感じると害獣扱いし、数の調整を行おうとする。激減すると絶滅危惧種とされ保護を唱え出す同じような問題は、世界各地にある。
宮島を訪れる観光客は、生き物としての生気を失いかけた鹿が目の前にいても、現実の問題を知る人は、ほとんどいないようだ。
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